《医療費の範囲:「医療費+アルファ」という定義》
いよいよ「医療費ってどこからどこまで?」という本題です。
「病院の領収書だけじゃなく、薬局の薬もいいらしい」
「病院に行くまでの交通費も入るんだって」
「マッサージもいいらしいよ」
「入院費用はいいけど、ナースステーションへの謝礼のお菓子代はダメらしい」
おそらくいろいろな話を耳にすると思います。
そうなるといろいろと疑問が湧いてきます。
実際、国税庁のホームページでは、その疑問に答える質疑応答集がまとめられています。
医療費関係の質問も多いです。
困ったらネットで検索して見てみましょう。
ここでは条文から
ある程度の考え方をまとめておきたいと思います。
条文では次のように定義されています。
《ポイント》
①いわゆる「医療費」とプラスαが条文で規定されています。
たとえば、
「病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供」となっています。
⇨「病院に行くための交通費」はこれになります。
表現からわかるように、「人的役務の提供」が要件なので自家用車で行った時のガソリン代は入りません。
また、「病院に収容される」が目的なので実家に帰るという目的地が違うものは対象になりません。
②医師による治療又は診療目的であること
美容整形や予防・健康増進目的のものは医療費控除の対象ではありません。
健康のためには「治療より予防」と言われます。
それはその通りなのですが、医療費控除の対象ではないということです。
眼鏡やコンタクトレンズは通常、治療のためのものではないので対象外になります。
湯治は熟語としては「治療目的」なのですが、「医師による治療」ではないので対象外になります。
③マッサージ、鍼、柔道整復師は国家資格ということもあり医療費控除の対象になります。
※治療目的のものが医療費控除の対象対象になるのであって、健康増進のためのマッサージ代は医療費控除の対象になりません。
④看護師等の療養上の世話も対象です。
入院費用なども医療費控除の対象になります。
在宅療養の世話の費用も入ります。
⑤助産師による分べんの介助も対象です。
妊娠関係ですと、定期健診や入院費用も対象です。
ちなみに妊娠中絶の費用も医療費控除の対象になります。
⑥治療又は療養に必要な医薬品の購入
これも範囲に入ります。
薬局の風邪薬代金も対象です。
「治療や療養」目的なので健康増進目的の健康食品の購入代金は対象外です。
⑦介護保健法に規定する居宅サービス等のうち一定のもの
居宅サービス等の全てではないので注意が必要です。
国税局のHPから調べて確定申告しましょう。
《一般的な支出額》
最後に、上記の項目に当てはまって医療費控除の対象と判断しても、注意すべき点が一つあります。
それは、
「その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする。」
の部分です。
歯科の自由診療がこの基準でアウトになりそうなのですが、
国税庁は
と公表しているので必ずしもそうでないようです。
「何が一般的なのか」
税法のいろいろな場面で出てくる判断要素です。
いやらしい表現ですが
時代に合わせて国税庁が質疑応答集を出してラインを明らかにしてくれています。
そうしたラインを基準に判断しましょう。
高額なものはダメということなので、
「『ブラックジャックに支払った手術代金2000万円』がこの基準でアウトです」
と言いたいのですが、
そもそもブラックジャックは無免許医ですから、
「医師による治療」に該当しないのでそちらでダメですね。
とはいえ、医師への謝礼の類はやはり医療費控除の対象にはなりません。
《まとめ》
一口に「医療費」といっても税法ではプラスαの部分が規定されています。
とはいえ、そもそも「医療費」です。「医療」つまり「治療のための費用」という原則が変わるわけではありません。
関係しそうな医療費の領収書はとっておきましょう。領収書がない交通費については医療費の領収書にメモしておくとよいでしょう。