仮想通貨の所得計算の注意ポイント~総平均法と移動平均法~
国税庁は平成29年12月1日に仮想通貨の所得計算の方法を公表しました。
そこにはこんな記載があります。
所得計算に選択肢があります。
厄介です。。。
この際、1通りに決めてしまった方がラクだったでしょうが、国税庁も法律を作る立場にないので、現行法の解釈からするとそういうわけにもいかなかったのだと思います。
「移動平均法」と「総平均法」
ー名称はどちらも平均法です。
「大差ないんじゃないの?」感じるかもしれません。
これが2017年の仮想通貨について言えば大差が出ることがあるので大問題なんです。
具体的に考えてみましょう。
移動平均法というのは、
「売った時までの平均を取得価額とする」
というものです。
1BTCを2017年の2月下旬ごろ13万円で買ったとしましょう。
そして、もう1BTCを6月下旬に30万円で買ったとしましょう。
そして12月上旬に210万円で1BTC売るとします。
売った時までの平均を取得価額とするので
210万円ー21.5万円=188.5万円
です。
割とわかりやすい話です。
売った後、買ったとしてもこの式に変化はありません。
「売った時までの価格の平均」だからです。
しかし、総平均法は売った時までの価格の平均ではありません。
年間の平均です。
それで、上に書いた売却の後に、
12月上旬に少し価格が下がったからと1BTC190万円で2BTC買ったとしたらどうなるでしょうか?
移動平均法であれば同じです。
売っていないので所得金額は188.5万円です。
しかし、総平均法だと違います。
105.75万円になります。
210万円ー105.75万円=104.25万円
です。
所得金額が
188.5万円と104.25万円
になります。
なんと80万円以上も違うのです。
税額が何十万円も違うことになります。
後で気づいても
どちらも合法なので、
「間違ってました」と
訂正することができません。
2017年中は値動きが非常に大きかったので、いろんなことが考えられます。
このケースでは総平均法が納税額を低く抑えられることになりましたが、全員が全員そうではありません。
最終的にどちらが良いかは各人が計算して比較しなければなりません。
「どっちにしたっていずれ売るんだから同じでしょ」
という人もいるかもしれません。
そうかもしれませんが、
こんなに儲かったのは2017年だけの話になるかもしれません。
2017年だけ税率が45%で翌年は20%かもしれません。
こうなるとだいぶ話が違って来ます。
この辺りを全部、納税者の損にならないように税理士は請け負うわけですから実に厄介です。
きちんと理解してもらって物事を進めないと
税務署には怒られないけど、納税者に怒られるということになりかねません。。