仮想通貨の所得計算のやっかいなところ②ー取引手数料
仮想通貨の所得計算を国税局のFAQに沿って行おうとするときに税理士としては引っかかるところがあります。
それは取引手数料の扱いです。
取引手数料なんて通常は、なんてことはありません。
気に留めないと思います。
それがなぜやっかいなのでしょうか?
身近な例で考えてみましょう。
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「リンゴ3個を300円で買いました。この時リンゴ1個はいくらですか?」
「1個100円です」
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なんてことない話です。
では、手数料を入れてみましょう。
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「リンゴ3個を300円で買いました。手数料に100円かかりました。この時リンゴ1個はいくらですか?」
「1個133円です」
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端数は出ますが、だいたいこんな感じです。
手数料の分1個あたりの取得価額が大きくなります。
ここまでは普通ですが、次が仮想通貨の世界に寄せた話です。
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「リンゴ3個を300円で買いました。手数料にリンゴ1個渡しました。この時リンゴ1個はいくらですか?」
「133円。。。。??」
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落ち着いて考えると違うことに気づきます。
リンゴ2個のために300円払ったので
「1個150円です」
が正解です。
なんだか古典的な詐欺の手口のようですが、仮想通貨の世界では割と普通の話です。
これを、リンゴ1個100円だからと考えて
(300円+リンゴ1個)/3個
という公式でやってしまうと133円に思えてきます。
これぐらいの文章問題であれば引っかかる人はあまりいません。
しかし、仮想通貨の所得計算の大変なところは「大量に取引がある」ところです。
所得計算にはエクセルやDBシステムを使って計算式を組まなければなりません。
その際に、
「取得原価=購入代価+手数料」
という式をそのまま受け入れて
計算式に入れてしまうとどうなるでしょうか?
結果として税額がズレてきます。
税額計算のミスは怖いですね。
税務署は許してくれません。
税理士が自分で計算すればこういうことはないでしょうが、所得計算を普段専門に行っていないシステム屋さんが行うとそういうことも起こり得る気がします。
私も自分で組んでみて少し悩みました。
仮想通貨の取引の場合、
①購入した仮想通貨の中から手数料を支払う取引所
②円で手数料を払う取引所
などいろいろあります。
ちょっとした罠ですね。^^;