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確定申告ってやらなきゃいけないの?

確定申告ってやらなきゃいけないの?

面倒臭い。。。

確定申告に対する普通の感覚はそんなものかもしれません。

そもそも確定申告というのはやらなければならないものなのでしょうか?

なんで確定申告をしないといけないのでしょうか?

国民の三大義務

「確定申告をやらなきゃいけないって学校で勉強した?」

急に「確定申告が国民の義務だ」などと聞くと時折聞かれる質問です。

確定申告まで学校で勉強することは、先生によるのかもしれませんが
「憲法の国民の三大義務」
という話は義務教育の中で勉強したことがある人が多いと思います。

教育を受けさせる義務

第26条2
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。

勤労の義務

第27条
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

納税の義務

第30条
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

小学校か中学校の頃に勉強したと思います。
憲法の「三大原則」と「国民の三大義務」テストにしやすいポイントです。

おそらく多くの人にとって印象に残っているのは「教育を受けさせる義務」です。

義務教育の期間中に勉強しているからです。

労働したり、納税したりということを多くの人が経験していない中で勉強するので印象の中にはあまり残っていないかもしれません。

ただ、一応勉強はしたと思います。

労働の義務と納税の義務があるので、日本国民には
「働いて税金を納めるという義務」があるということです。
一応、義務教育の過程でそこを勉強しているので、この前提はみんな知っているはずだということになります。

「自分で税金計算をして税金を納付する」という権利

そんな前提を踏まえても
「確定申告なんて面倒だ」
というのは普通の感覚だと思います。

ただ、確定申告自体も「大切な権利」だということも見逃せない要素です。

税金について大枠を定めている国税通則法という法律に次のような規定があります。

 

第十六条(国税についての納付すべき税額の確定の方式)
第十六条 国税についての納付すべき税額の確定の手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるものとし、これらの方式の内容は、当該各号に掲げるところによる。
一 申告納税方式 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつた場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
二 賦課課税方式 納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
2 国税(前条第三項各号に掲げるものを除く。)についての納付すべき税額の確定が前項各号に掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかは、次に定めるところによる。
一 納税義務が成立する場合において、納税者が、国税に関する法律の規定により、納付すべき税額を申告すべきものとされている国税 申告納税方式
二 前号に掲げる国税以外の国税 賦課課税方式

簡単にまとめると
国税は

  1. 「申告納税方式」という納税者が計算する方法と
  2. 「賦課課税方式」という税務署長が計算する方法の

二つの方法があるということです。

「申告納税方式」の興味深いところは、「基本は納税者が自分で計算」で、「申告がなかったりすると税務署長が決めた税額ですよ」という規定となっているというところです。

「税金の額を自分で計算できる」というのは、結構大事な権利です。

調査をして証拠をあげないと権力サイドもその税額を基本的には覆せないという法律になっています。

戦国時代の農民のイメージで、権力サイドが税額を決めてある日突然徴収されていくというのは、考えて見るとなかなかに厳しい状況です。

昔はそれが当たり前という時代があったわけです。
今でも国家権力に力がある国の納税状況というのはそういうものです。
国がいくらと税金を決めたら、納税者がどう文句を言おうがそういう国では従わなければなりません。

日本では、そういうことがないように納税者の権利が定められているわけです。
当たり前の話ではありません。

所得税、相続税、法人税はその代表格です。

「税金なんて税務署が決めて通知してくれればいいのに」と言いたくなる気持ちは分かりますが、「本当に全部税務署が決めるようになった時の閉塞感」というのを想像すると、結構窮屈なものという気もしてきます。

ですから、確定申告は面倒に感じたとしても、それなりに大切にしなければならない権利であり制度であるということになります。

税理士の役割

税務署という「権力サイドが税額を計算すると問題がある」ということと
「納税者が税法を全部勉強して税額を計算すると面倒だ」ということで、
間に立ってその仕事を行うのが税理士になります。

両方の利害が対立する部分を、税理士にお金を払って解決しようというわけです。

ただ、その部分の費用についても、
「すべて納税者負担」というイメージかというとそうでもなくて、
税理士を使って税法をきちんと守っていると
「税金はいくらか安くしてあげる」という制度がいろいろとあったりします。

一昔前はただそれだけだったのですが、
近年、PCの発展で自力で確定申告もできるようになってきました。
最近ではAIの進化も著しいです。

それで規模が小さければ税理士に頼まなくても「税金をいくらか安くしてあげる」という特典を受けられような納税者もいます。
最近では、大きな規模でなくても自分で独立して事業を営む人も多いのでそうした人も割と多いことでしょう。

AIの進化が著しいようですから、いろいろ状況は変わるかもしれません。
(AI時代の税理士の役割については別の記事で書きたいと思います。)

確定申告しなくていい場合

税務署はAIによる税務行政を進めているようですが、まだ、納税者としては原則として収入があるなら確定申告を行う義務があります。

AIの進化があっても当面「確定申告をしなければならない」という状況は変わらなさそうです。
(「AIが算出した税額だから」ということで、納税者が納付額になんの文句もなく受け入れるでしょうか?今の状況を見る限り「納得いかない。やっぱり自分で計算させてくれ」ということになりそうです。詳しくはまた別の記事で)

それで、当面は確定申告をする義務があるという認識で問題ないでしょう。

ただ、確定申告をしない人も実際のところ沢山います。(判定はこちらで)

年金受給者やサラリーマンです。

憲法や国税通則法の背景を見てもそうですが、
税法的にはこちらの方が例外になります。

ただ、例外の数の方が多いので、例外が普通のように感じてしまうのも無理ありません。

サラリーマンで給料が年間2000万円以下で、副収入が20万円以下であれば確定申告不要になります。会社がやってくれる年末調整でOKです。税務申告完結です。

年金受給者も年間400万円以下の受給で副収入が20万円以下であればやはり確定申告不要になります。

最近ではインターネットの発達によって副収入が結構あるという人が増えました。
他にも例外に該当しても医療費控除やふるさと納税などで確定申告をした方が良い人も増えてきています。

そうした意味では、「確定申告不要」という例外に該当する人も少なくなってきているのかもしれません。

まとめ

面倒臭い確定申告も
国民の大切な義務であり権利です。

最近では、確定申告不要なサラリーマン等も減ってきています。

ふるさと納税などで得するということもあるので、日本人としての基礎知識として少し確定申告にうちて勉強して見てをやってみるのも大切かもしれません。
このブログがいくらかでも助けになれればと思います。

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