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個人事業主の確定申告、仮想通貨の確定申告ー【◯◯って経費になりますか?】

確定申告の時期が近くなってくると、

友人に聞かれる質問第1位が

「◯◯って経費になるかな〜?」
です。

「それはなるんじゃないですか。」
とか
「それはさすがにならないですね」
などと答えたりします。

質問してくる人の中には「結構儲けている人」から、「ほとんど所得がないものの確定申告しなければならない人」までいますが、「◯◯って経費になりますか?」というのは割と共通の質問です。

とはいえ、基本的に難しい話ではありません。
「『お金を儲ける』ために使ったお金」が「経費」です。

この考え方で基本的にOKです。

でも、どうやってお金を儲けるのかは人それぞれです。
経費も多種多様なものになります。

そんな中、多種多様の経費があることをいいことに、世の中には悪い人もいるもので、
「どんな領収書だって経費にあげちゃえば、税務署はわからないから大丈夫だよ」
みたいなことを無責任に言う人もいます。

本当でしょうか?

時代錯誤な話です。

インターネットで多くの情報が発信されています。

どんな情報も隠し通すのはかなり難しい時代です。
従業員も関係者も都合よく秘密を守ってくれるでしょうか?

まず期待できません。

匿名の情報がネット上にたくさんあります。
税務署に裏を取られて問いつめられて逃げ切れる人がどれぐらいいるでしょうか?

「悪質だと懲役10年」という厳しい罰まである所得税法違反の前に逃げきれるでしょうか?
税務職員にちょっと脅かされたらだいたいの人はアウトです。

とにかく税金を払うからそれで許してほしいと思うのが関の山です。

所得税法 第6編 罰則 第238条

税務署も税金をとることについては一生懸命に働いています。
安易な気持ちでなんでもかんでも経費にして良いわけではありません。

税理士法人として目指すのは納税者に有利な「正しい申告」です。

では、そもそも、「個人事業主の経費」ってなんなのでしょうか?
少し考えていきましょう。

1.法人と個人の違い

「経費ってなんだろう?」
ということを考える時に、いきなり所得税法を調べる人がいます。
(興味がある人は読んでも良いのですが、とりあえず載せておきます。)

所得税法(必要経費)

いきなりこれを読んでもちょっと分かりづらいですね。^ ^;
結構考え込んでしまいます。

ちょっと条文を見る前に法律に書いてないような、当たり前のことを押さえておきたいと思います。
それは、「法人と個人との違い」です。

「法人と個人との違い」

「法人」と「個人」は一体なにが違うでしょうか?

特に税法の知識はいらない普通の質問です。普通にだれでも答えられる事だと思います。

それは、

「生きている」

です。

・・・・

「なーんだ、そんなことか」

という声が聞こえそうですが、これが意外と大事です。

法人は食べたり飲んだりしません。眠ることもありません。
※「法人の従業員」が食べたり飲んだりするだけです。

なので、図にするとこんな感じで違いが出ます。

それで法人の出費は株主が認めれば全部経費です。

株主が認めないと背任ですね^_^;

図を見てわかる通り、法人は全活動が営業活動です。

しかし、個人は食べたり飲んだりします。どんな人でも眠ります。

つまり「事業活動以外の活動」が必ずあるということです。
これは大前提です。

税法に書いてはいません。法律上の決まりの話ではなくて、当たり前の話だからです。

時折、仕事熱心な個人事業主が
「自分は人生の全てを事業に捧げているから自分の出費全ては事業の経費だ!」
と熱心に語ることがあります。

でも、この円グラフの現実は万人に当てはまります。熱意で覆るものではありません。

個人事業者である以上、「人間として生きる」ための出費が必ずあるはずです。

生きている以上、0円であるということは、あり得ません。

「生活のための出費なんて0%だ!」と主張した時点で
「税金計算間違ってます!」と言っているのと同じです。

2.所得税法の規定

所得税は個人に対して課されるもので
法人税は法人に対して課されるものです。

法人と個人の違いは先に書いたように「生きていること」です。

そのことと関係するような所得税法の条文があるでしょうか?
法人税法と対比して見てみましょう。

(1)10種類の所得

「所得税法では所得を10種類に分けます。」
という話を聞いたことがあるでしょうか?

利子、配当、山林、不動産、事業、給与、退職、譲渡、一時、雑

という区分です。
この規定は個人が「生きている」ということと関係があります。

所得税法の条文
法人はどうでしょうか?

法人は基本的に1種類です。
「各事業年度の所得」に対して法人税が課されます。
法人はやはりこの円グラフのイメージです。

「なにかしらの収益を上げるために活動してますよね」
ということです。
それで法人の所得は基本的には1種類です。

でも個人は違います。

所得の種類も10種類です。税金の課し方も全然違います。

さらに非課税所得や、相続税法による贈与や相続まで収入が想定されています。

人として生きる上で「いろんな活動がある」ということは法律で定めてなくても当然の事実であり、その事実の上に税法があります。

(2)自家消費、家事関連費

自家消費(又は家事消費)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

所得が10種類という話よりも、少し専門的な言葉になります。

条文は次のようなものです。

所得税法の自家消費についての規定


「こういう時には税金を課しますよ。」
という規定です。

やはり、個人は事業だけやっているわけではなく
「生きていろいろなことを行なっている」
ということが前提になっています。

似たような言葉で家事関連費という言葉もあります。

(家事関連費についての条文)
今度は「家事関連費」という用語です。
特に定義はないのですが、
「人として生きる上でいろいろお金ってかかるよね」
という感じの趣旨だと思ってください。


こういう経費は必要経費には参入しませんということが規定されています。

生きるにはお金がかかることもあるということが書いてあるわけです。

一方で、法人にはそういう余地が全くありません。


100%営業活動しかしていないからです。

やはり、個人は「人として生きている」ということが前提になっています。

3.「違い」を踏まえての必要経費とは?

ここまでで、法人と個人の違いを踏まえました。
何度も書いていますが、個人は「人として生きています」。

それで、いろんな活動を行なっています。
「事業活動だけをしている」ということはあり得ません。

経費にもいろいろな経費があります。
・事業のための経費
・家計のための経費
・賃貸不動産のための経費
・マイホーム譲渡のための経費
いろいろです。

個人に課する所得税においては所得も1種類ではありません。
10種類に分かれています。

それで、所得計算の際には、所得を分けるだけでなく
・事業所得には事業所得のための経費
・不動産所得には不動産所得のための経費
・譲渡所得には譲渡所得のための経費
・仮想通貨にかかる所得には仮想通貨に係る所得のための経費
・家計のための経費
という感じで経費も区分しなければなりません。

ここまで来ると冒頭の質問に結構答えやすくなります。

たとえば、
「仮想通貨で大儲けした人が家の家財を全部イタリア製の家具に買い換えました。」

これは経費になるでしょうか?

「イタリア製の家具」は「仮想通貨の所得を得るための経費」ではないですね。
ただの家計における出費です。

区分が違います。

「◯◯って経費になりますか?」

さて、どの所得に対応する経費でしょうか?
家計に対応する経費でしょうか?

なんとなく判別できる気がしませんか?
完璧な判断でなくてもある程度のイメージはつかめると思います。

これだけで8ー9割の経費の判断はできると思います。

ここで疑問として残るのはおそらく、

①対応関係が大事ということはわかったけど、経費としてどういうものが一般的に認められるの?

②家事関連費と業務上の経費の両方に関係するような経費なんですが。。。これってどうなの?

③経費の判断指針ってこれだけ?

という点だと思います。

③だけ先に答えると「これだけ」ではありません。

  • 家族への給料は経費にならない
  • でも、ある手続きをすれば経費として認める
  • 補助金をもらった時はどうだ
  • 経費として税金を払ったときはどうだ

Etc
その他の例外として色々規定されています。というよりも、この規定を束ねたものが所得税法です。

ただ、ざっくりとは上記のイメージです。

4.なにが一般的なのか?

これは結構大事なポイントです。

分かりやすい事例を出してみますと、

①従業員に採用記念にボールペンを買ってあげた。

普通の話です。福利厚生費なり消耗品費なりでOKでしょう。

②従業員にお茶をお歳暮として送った。

これも普通の話です。これも福利厚生費なり、接待交際費でOKでしょう。

では、

③従業員にダイヤのイヤリングを買ってあげた。

これはどうでしょうか?

なんだか 「きな臭い。。なにか特殊な関係性があるんじゃないの?」となります。
事業経費とは言い切れない気がしませんか?

①〜③はすべて「従業員にモノをあげた」という事象です。

ただ、事業経費と認められる一般的な範囲かどうかということが問題になることがあります。

これについては
「ラインがここです!」
となかなか言いづらいものです。

世の中どんどん変化して生きますし、事業形態も様々です。商慣習も色々あります。事業主自身がだいたいはわかると思います。

問題になりそうな金額が少額であれば自分で判断しても問題はないでしょう。

ただ、ラインギリギリに感じるもので高額な経費がある場合には、現状ではネットの情報だけだと若干不安があることは否めません。

どうしても経験と知識が豊富な専門家が必要に思えます。税理士は守秘義務があるので多くを語りませんが、さまざまな商取引といろんな会社の取引をたくさん見ています。税務署が最近はなにがあると認めてくれるのかというのも実際見て、そして彼らと交渉して体感しています。

それで所得が大きくなってきて経費も大きくなってきたら税務リスクも大きくなりますから、必要に応じて税理士に頼るようにしましょう。

5.共通経費について

最後に家事関連費と業務経費が混在するケースについて考えて見ましょう。

自宅で仕事をしている人の家賃や水道光熱費が代表例です。

自宅で仕事をしている場合、家賃や水道光熱費は
事業経費と家事関連費のどちらにも属するものです。

図にするとこんな感じです。

これについては所得税法施行令の規定はこうなっていました。

所得税法第45条、第96条(家事関連費等の必要経費不算入等)
要するに
「基本的には家事関連費はダメなんだけど、業務上必要な部分を区分できたらいいよ
ということです。

つまり大切なのは、「事業経費かどうか」だけではありません。

加えて
「明確な区分ができているか」
が重要になります。

共通経費である自宅家賃や自宅水道光熱費を仕事で使っているからって全額計上したらダメということです。明確に区分しなければなりません。(「100%事業用です」という主張は通じないことは上記で書きました。)

「明確な区分」はどうやったらいいんでしょうか?
基本通達には次のように書いてあります。

所得税法基本通達(家事関連費関係)

これも総合判定です。

  • 業務の内容
  • 経費の内容
  • 家族及び使用人の構成
  • 店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等

によって、明確に何パーセント業務上の経費かというのを算出する必要があります。国税庁のHPには下記のような記載があります。

ですから、交際費や接待費の場合、

取引先二人と納税者本人で食事をしたので

「3分の2を必要経費、3分の1を家事用の経費とする」

という区分をします。

 

自宅兼事務所の場合、「使用面積比で区分して何パーセントを必要経費とする」という区分をします。

 

明確な区分をしたらきちんとそのことを記録に残しておきましょう。何年も経過してから税務調査は来ます。その際に、なにも記録が残っていないと

「明確な区分がない」→「条文の要件を見たいしていない」→「必要経費として認めない」→「課税+過少申告加算税」

となってしまいます。きちんと明確に区分し記録を残しておきましょう。

どこまで厳密に計算すべきか、どの点が重要なのかといったことは業種や規模によって異なってきます。

金額が少なければある程度でいいでしょう。

ただ、経費の額が大きいと雑な計算で良いとは言い切れません。やはりこの点でも金額が大きくなってきたらいろんな業種の取引を見ていて、税務署とやりとりを多く行なっている税理士の助けを借りると良いでしょう。

 

だいぶ長くなりましたが

「◯◯って経費になるの?」

にこれぐらいのことを踏まえると、結構な判断ができると思います。

ぜひ自分でやって見ましょう。

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