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「家族の分の医療費」と「控除する保険金」について

《「家族の分の医療費」と「控除する保険金」について》

「医療費ってどこからどこまでなの?」
確定申告と関係しないと不思議な質問です。

一方で、医療費控除の確定申告ではよくある質問です。

通常、
「医療費って何?」
ということはないと思います。

大体わかります。
「お医者さんに払ったお金のこと」です。

でも、税金を申告するということで真剣に考えると、

病院はOKだろうけど、、、
薬局の風邪薬はOK?
漢方薬は?
妊娠、出産は医療費?
マッサージは?
といろいろ疑問が湧いてきます。

しかも、申告時においてはこの面でグレーというものは存在しません。
白か黒です。

医療費控除になるかならないかです。

では、実際どこからどこまでが医療費控除の対象になるのでしょうか?

所得税法の条文からすると

  • 家族全員の分で
  • 保険金で補填された部分を除いた
  • 支払済の「医療費」

が医療費控除の対象となります。

まずは、支払済というのが大切で誰でも分かるところです。
領収書の日付で確認できます。

次に「家族の分」です。

《家族全員の分》

条文の表現からすると
「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族」
です。

分かりづらいですね。。

  1. 生計が一緒
  2. 配偶者もしくは親族

でないといけません。

なので、
同棲相手は配偶者もしくは親族に該当しないので所得税法では認められません。
※ペットの医療費もダメですね。
「うちの犬は家族だ!!」というのは税務署には通用しません。

この点は確定申告の時に税務署と言い争っても全く意味がありません。
税務署には法律を書きかえる権限はないですから、文句を言うのはやめましょう。

あとは、
①「生計を一にする」
という独特な表現です。

基本通達に考え方が出ています。

  • 仕送りを受けている大学生は同居してなくても生計を一
  • 別生計ということが明確でない限り同一家屋なら生計を一

という感じのことが書いてあります。

一般的には「家族の分」で良いと思うのですが、家族にもいろいろな形があるので、参考までに条文と通達の文章については下記に載せておきます。

所得税法での医療費控除
第七十三条  居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2  前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。
3  第一項の規定による控除は、医療費控除という。
地方税法での医療費控除
地方税法(道府県民税)
第34条
二 前年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費(医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。)を支払い、その支払つた医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより埋められた部分の金額を除く。)の合計額が、前年の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(その金額が十万円を超える場合には、十万円)を超える所得割の納税義務者 その超える金額(その金額が二百万円を超える場合には、二百万円)
地方税法(市町村民税)
第314条の2
二 前年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費(医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。)を支払い、その支払つた医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより埋められた部分の金額を除く。)の合計額が、前年の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(その金額が十万円を超える場合には、十万円)を超える所得割の納税義務者 その超える金額(その金額が二百万円を超える場合には、二百万円)
(生計を一にするの意義)所得税法基本通達2-47
2-47 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

《保険金の分を控除》
国税庁のHPには次のような説明が付加されています。

(例) 生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
(注) 保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

例示に、生命保険契約などとありますので、損害保険契約で出た保険金も対象です。また、医療費の補填目的の損害賠償金もこれに該当します。気をつけましょう。
一方で、死亡や重度の障害に対する損害賠償金はこれに該当しません。出産手当金も該当しません。会社からもらった見舞金も該当しません。

※細かい疑問はきりがありません。
この点だけであれば、いくつもの質問事項が湧き出るということもないので、迷ったら国税局の電話相談センターに質問して聞いてしまいましょう。

「入院費用が10万円だけど、保険金が20万円おりた」
というときはどうしたらいいのでしょうか?

こういう時には注意書きにあるように、入院費用から20万円を引きますが、余った10万円をその年中の他の医療費、例えば歯医者に通った3万円から差し引くということはしません。

《まとめ》

家族の分の医療費も医療費控除の対象です。家族分の領収書を捨てずにとっておきましょう。

いよいよ長くなってきたので「医療費の範囲」についてはまたこちら

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