確定申告

サラリーマンの経費計上ー「特定支出控除」ってなに?

「領収書を集める」
会社の名前で領収書を書いてもらうということは日常的に見かけます。
個人事業者の人も行なっているイメージがあります。

どちらも領収書を
「経費で落とす」ためです。

でも、サラリーマンが「領収書を集める」のはあまり見かけません。
なぜでしょうか?

「サラリーマンの経費計上の税制を知らない」
もしくは、
「使う気がない」からです。

「経費にならない」わけではありません。

きちんと領収書を集めて手続きサラリーマンでも、領収書から経費計上することは可能です。

「そんな税制の存在を知らないし。。」
という人も結構いると思います。

なにせ、この「特定支出控除」については大半の人にとって知っていても知らなくてもさほど差はありません。受けられる人が極端に少ないからです。

税理士事務所の中でもかなり忘れ去られそうになる税制です。

でも、ずっと永遠にこの「特定支出控除」を使えないのか??
というとそうでもありません。

ある日突然、「特定支出控除」を使用できる状況になる
なんてことも起こり得ます。

そんな時、手続きが後手を踏むと結果として高い税金を納めることになります。
(「ある日突然、個人事業者になる」のと似てますね。知らないでなにもせずに確定申告を迎えると結果として高い税金になってしまいます。)

そんなことにならないために一応、この税制について解説しておきたいと思います。

1.どんな制度なの?

(1)そもそもの話

「サラリーマンの経費計上」ということで書いていますが、
そもそもの話をするとサラリーマンは領収書を集めなくても必要経費が認められています。
それが「給与所得控除」というものです。

この表によれば給料をもらっている人はどんな人でも65万円の経費は認められていることがわかります。

「領収書なんて一枚もなくても65万円が経費になる」

個人事業主にしてみたら、かなり羨ましい話です。
年収1000万円超の人は220万円も認められます。

※「領収書のいらない経費」
個人事業の規模が大きくなってきたら「会社設立」を検討する一つの要素です。会社を設立して給料をもらうようにするだけで領収書のいらない経費が認められます。あとは会社設立費用との比較で損得計算ですね。

とまあ、給料をもらうサラリーマンは実に優遇された制度のもとにあるわけなのです。

ただ、ここで考え深い人がさらに疑問を呈します。

「でもさー、サラリーマンだって
スーツや書籍とか買ったりしたら、合計が給与所得控除の額より大きな額になる年だってあるんじゃないの?」

・・・・んまあ、、、そうかも。。
という話がかつてありました。

興味のある下記の判例を読んでみてください。

大嶋訴訟最高裁昭和60年3月27日

そんな考え深い人の疑問を受けて「特定支出控除」というものが昭和62年の税制改正で創設されました。

まさに言い分そのままです。
「サラリーマンの経費が給与所得控除の額より大きな額になったら、その超える部分を経費にしますよ」
という制度です。

(2)何度かの改正

そもそもは
「サラリーマンの経費が給与所得控除の額より大きな額になったら、その超える部分を経費にしますよ」
という感じの制度です。

ただ、サラリーマンの「領収書のいらない経費」は日本では結構な額なのでそれを超えるのはなかなかに大変です。

それで、それを超えやすいように何度かの改正がされて次のようになってきました。
①「サラリーマンの経費」の範囲の拡大
徐々に拡大されてきました。
例:そもそもはスーツ代はダメだったのがOKになりました。(平成24年度改正)

②「給与所得控除の額を超える」というハードルが高すぎたので「給与所得控除の半額を超える」という半分のハードルになりました。

「65万円を超える」が「32.5万円を超える」になりました。

所得税法条文(給与所得者の特定支出の控除の特例)

※しかも、給与所得控除自体はこの数年段階的に縮小されています。

なので、
「特定支出控除の適用なんて無理だ」
と何年か前に思ったとしても、実は毎年ハードルが下がってきているのです。

みなさんのハードルはどれぐらいでしょうか?数字を入れてみましょう。(安心してください。この数字は収集されません。)

0円がハードルです。

2.どんな人は受けられる可能性が高いの?

(1)自腹の出費がある人

では、どんな人がこの「特定支出控除」を受けられるのでしょうか?

「サラリーマンの経費」ですが、会社が負担しているものはダメです。

なので、税金のかからない通勤手当としてお金をもらっている人は「サラリーマンの経費」計上はできません。
自腹で経費を払っている人が可能性大です。

では、どんな経費がサラリーマンの経費として認められているんでしょうか?

所得税法施行令条文(特定支出の範囲)

下のボックスに見積額を入れていきましょう。集計されます。

①通勤費


通勤費って?

②転任に伴う転居費


転居費って?

③研修費


研修費って?

④資格取得費


資格取得費って?

⑤単身赴任に伴う帰宅旅費


帰宅旅費って?

⑥図書費


図書費って?

⑦衣服費


衣服費って?

⑧交際費


交際費って?
⑥、⑦、⑧は合計65万円までという上限があります。

※スーツ代や図書代ぐらいは結構な人が支出していると思います。そこに資格取得の学校に通いつつ、スーツとかまとめて買ったりすればハードルを越えたりしませんか?

上記のボックスに数字を入れれば下記で判定可能です。

見積特定支出の合計額:0
年収からの超えるべきハードル:0

特定支出控除が使えます。計画的に経費を使い、領収書を集めて書類を作成しましょう。残念ながら今の見積もりでは特定支出控除は使えません。無理して経費を出す必要はありませんが、購入するタイミングなど計画的に検討できるかもしれません。

(2)マメな人

もう一つ大事なことがあります。
それは、「マメに書類を整える」ことです。

医療費控除のように
「領収書をまとめておいて確定申告の時期に集計」という感覚だとだめです。
領収書だけだとダメなんです。

証明書を会社に出してもらわないといけません。

所得税法施行規則(給与等の支払者による証明等)
様式は上記の注釈に格納してある通りです。

書類に必要事項を記入して会社の印鑑を貰います。

「仕事で使うスーツ買うお金を出してくれ」
というわけではなくて、
「仕事で使うスーツを買った証明に印鑑を押してくれ」
というお願いなので、きちんと話せば印鑑は押してくれると思います。

出費のたびにもらうのか年末にまとめて貰うのかについては特に規定がなさそうなので会社で協力してもらいやすいように書類は作成しましょう。

当然ですが嘘を書いてはいけません。脱税になってしまいます。

会社だけで良いのかというと帰宅旅費については、1万5千円以上の料金だと交通機関の利用の度に証明をもらわないといけません。
列車の車掌さん空港のカウンターで証明書に印鑑を貰うように様式の一番最後にあります。

面倒なようですが、必須です。

「領収書を集めて経費として認めてもらう」
というのはマメでないと不可能です。

がんばりましょう。

3.どんな手続きをする必要があるの?

(1)確定申告

領収書と証明書を集めればあとは確定申告書を作成するだけです。
材料があれば何も問題はありません。
特定支出控除については源泉徴収票と領収書と上記の証明書を揃えれば十分です。
そうすれば、次の明細書を埋められます。

給与所得者の特定支出に関する明細書
税理士の肌感覚として
確定申告で大変なのは「材料が揃ってないのに申告書を作り始めるとき」です。

お好み焼き作りでも、材料を揃えてからはじめないと、粉まみれで買い物に行くことになります。着替え、シャワー、洗濯、掃除、、、大変です。

それは、
「お好み焼き作りが大変」なのではなく「段取りが悪い」のです。

確定申告も似たようなところがあります。全部の資料をまずはきちんと揃えましょう。全資料さえそろえば意外と簡単に終わります。

特定支出控除についていえば

①特定支出についての領収書

②給与等支払い者の証明書

の2点です。

ただ、

特定支出控除を適用しようとされる方は、たいていの場合他の規定も使うと思います。

 

それで、他にも確定申告に必要なものがあると思います。

全ての必要書類を整えてから確定申告書は作成するようにしましょう。

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