ビットコイン(仮想通貨)と確定申告

ビットコイン(仮想通貨)と確定申告

「仮想通貨の確定申告をどうしたらいいんでしょうか?」

税理士という職業柄 こうした相談を受けるようになりました。

ちまたで噂のビットコイン。
なんとも怪しい投資話のようであり、会計・税務の未来さえ変える可能性のある電子通貨のようでもあります。

税理士にとっても興味深いものであることは間違いありません。

ただ、税理士の喫緊の課題は、仮想通貨への「投資の推進」ではなく、仮想通貨の「確定申告の推進」です。

平成29年12月1日付で国税庁が
「ビットコインをはじめとする仮想通貨の所得計算方法について」というFAQを公表しました。

所得税法からしても税金がかかることは間違いありませんでした。(詳しくはこちら)
このFAQで仮想通貨の譲渡による所得が譲渡所得ではなくて雑所得であることが明示されました。

やはり確定申告もしなければなりません。(詳しくはこちら)

「仮想通貨の所得計算」

買っただけで儲かったという人はそんなに悩ましくないのですが、
人によっては大量に売り買い、交換をしています。そういう人の確定申告は厄介です。

ネット上では無責任な情報が結構出ています。
ただ、薬や治療法についての無責任な情報は人の命を落としかねないのと同様、税法についても無責任な情報は命取りになります。
※そんなことも踏まえて、一応、税理士法でも税理士以外による税務相談等は禁じられています。

「仮想通貨の税金計算」という言葉からすると、「数字を足したり引いたり」だけのイメージのようですがそこまで単純な話ではありません。

「数字を足したり引いたり」だけであれば
・電卓があればできる
・会計ソフトがあればできる
・Excelがあればできる
・計算システムがあればできる
となるでしょうが、個人の税金計算はもう少し複雑です。

将来的にAIが「各人にあった税金計算」をどの程度提供してくれるのかは分かりませんが、未来への期待をいま言ったとしても2018年時点ではそうしたAIも存在しません。

やはり、この何年かの確定申告については税理士が頑張らなければなりません。
2017年12月に国税庁が計算方法のガイドラインを示したものですから、確定申告まで2、3ヶ月しかありません。

  • 大量の計算
  • 小数点以下の処理
  • 各社ごとに異なる形式の取引履歴
  • 取引所ごとに異なるレート
  • 取引所をまたいだ取引(こっちで買ってあっちで売れば利益確定というケース)
  • 秒単位で変化する仮想通貨の時価
  • 何千万円、何億円の税額の可能性

こうした要素を全て込みで完全自動化のシステムをバグチェック込みで2、3ヶ月で組み上げるというのはかなりの至難の技です。

ただのシステムであれば
「ごめんなさい。間違ってました」で済むかもしれません。

損害に直結しないシステム開発も世の中にはあります。

社内管理システムなどバグがあっても、業務が遅れるだけで具体的な金額のある損失に直結しないかもしれません。

ただ、仮想通貨の所得計算は「税金計算」というものが絡むので話は別です。
金額の確定した損失に直結します。

過少申告加算税や延滞税といったものがあるからです。
計算ミス部分の税額の10%もの支払が確定です。金額も明確になります。

※そんな事情も含めて税理士法では税理士以外が「税務書類の作成」をすることを禁じています。
「税務書類の作成」は法律的にかなり重大な責任のある仕事ということがわかります。

国の税収に直結するので、当然と言えば当然なのかもしれません。

そういう背景があるので
「無資格のシステム開発会社が税金計算したから間違った税額になった」と税務署に言っても、
税務署サイドはそういう人を救済しませんし、できません。

なぜでしょうか?

税務署にはそういう裁量権がないからです。

納税者に悪意がないことが分かったとしても、税務署には「税金を課す課さない」というほどの裁量権はありません。
そういうものがあってもごくごく一部です。(重加算税を課すか課さないか程度です。)

そんな「税金を課す課さない」というところまで、裁量権を認めていたのでは巨額の不正が生じかねません。

裁量権が法律的に認められていたら、
「計算は適当にしてあとは税務署の職員に圧力をかけよう」とか
「ゴマすればなんとかなる」という人ばかりになっていまいます。

税務署は泣かれても怒られても税額を変えられません。感情を入れないで計算機になります。
法律通りペナルティの税金を課します。

ことの重大性を考えると法律が「税務書類の作成」を税理士だけに限っている背景も分からないではありません。

そういうことも考えるとやはり難しいことがわかってきます。時間がないのです。

個別で対応することはExcelが優秀ですから可能でしょうが、
全員に対応する全自動システムを作り上げるというのは時間がないだけにかなりリスキーになります。

何億円という納税額の計算ミスをプログラム上のバグで被ったら、それだけで税理士生命終了です。
小数点以下の処理などでそういうことが起こったらと考えるとうかつに手が出せません。

それで正確な情報を提供しつつ、
ある程度「納税者が自分で確定申告をする」上で助けになる情報を提供することを目的としてこちらの特集を組みました。
(それでも確定申告自体を税理士に依頼したいという方はこちらへ)

個別で対応したとしても「ビットコインをはじめとした仮想通貨の確定申告」は国税庁のFAQどおりに実現するのはなかなかに大変です。
実際やってみるといくつものハードルがあったりします。

仮想通貨取引業者よってはうまく取引履歴を取得できないことがあります。
交換時の時価の取得が結構に大変だったりします。
使用時の履歴がうまく表示されていないときもあります。
移動平均法と総平均法で納税額が大きく異なるケースがあります。

「収入から経費を引く」だけなのですが、単純なようで、実際やろうとするとそうでもありません。

こうした記事を準備している最中にコインチェック事件も起きました。
2018年早々に何億円もの利益が確定してしまった人もいることでしょう。
なにか事業を起こして有効に運用してから納税したいという人も多く現れたかもしれません。

そのあたりも含めて、意外と深い「仮想通貨の確定申告」をなるべく分かりやすく説明できればと思います。

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